修了考査の勉強方法
【この記事の目的】
・修了考査の勉強方法があまりシェアされていないので、今年以降受験する方の参考になってほしい
・なお、修了考査の結果は別記事にて記載
【前提】
・試験2か月前(10月上旬)から勉強を始めた
・試験前に3週間休暇をとった
・監査法人に勤務していた(監査経験は3-4年)
・修了考査の予備校はTACを利用
【設定した目標】
・1,200点満点中 720点(60%)以上とる
・特に会計、監査、税務は1科目で300点なので、優先的に勉強する
・ただし、1科目でも40%未満があるとダメなので、苦手科目を作らないようにする
【意識したこと】
・正確にアウトプットできるレベルになる(インプットで満足しない)
・科目や分野ごとに優先順位・濃淡をつけて勉強する
・ゴール(目標)から逆算して計画・行動する
【やったこと】
◆インプット
・論文でやった分野:
論文のテキストを使って勉強する(講義は見ない)。アウトプットを意識しながら、各科目2周はした。
・論文でやってない分野(改正論点も含む):
TACの講義を受ける。最初の1か月で見切る。残り1か月で2周はした。
→具体的には、
税務:グループ法人税、連結納税、組織再編、相続税、財産評価、国際課税
経営:IT
◆アウトプット
・答練(全14回)を3周した(最初の1か月で1周目、次の2週間で2周目、最後の2週間で3周目)。なお、答練は時間通り解くが提出しない。
・過去問は2年分解いた。具体的には、会計、税務は時間通り解いて時間の感覚を試した。他の科目はパっと解答が思い浮かぶかを試した(正答率は気にしない)。
【勉強時間】
(単位:時間)
会計 | 監査 | 税務 | 経営 | 倫理 | 合計 | |
10月 | 33 | 0 | 32 | 6 | 0 | 71 |
11月 | 48 | 46 | 60 | 30 | 5 | 189 |
12月 | 29 | 23 | 36 | 5 | 5 | 98 |
合計 | 110 | 69 | 128 | 41 | 10 | 358 |
【結果】2020年(令和2年度)修了考査
今更ですが、令和2年度(2020年12月)の修了考査に合格しました!
成績開示もしたので、参考まで載せておきます。
総点数 | 会計 | 監査 | 税務 | 経営 | 倫理 |
B | B | B | C | A | B |
※A~Eは次を意味しているようです。
総点数または各科目の点数に対する得点の比率が、
A 70%以上、B 60%~70%、C 50%~60%、D 40%~50%、E 40%未満
税務は割と自信あったけどC、会計・監査は自信なかったけどB。
論文の時もそうだったけど、手応えと結果とのギャップが大きいなぁと改めて思いました…。
◆修了考査の合格率の推移
◆修了考査のHP
【感想】2020年(令和2年)修了考査(税務)
【この記事の目的】
・今後こういう試験を受けることはないだろうから、日記・備忘の意味も込めて感想を書く
・来年以降受験する方の参考にもなればうれしい
(筆者は合格不合格に関わらず、来年以降再受験の予定はない)
【全体的な感想】
・分量が多く3時間では絶対終わらない。
・①2日目ということもあり試験慣れもあったこと、②税務は苦手ではないこと、③割と平易な問題が多かったので、サクサク解けた。
→65~75%くらいいけたら嬉しい…!
・法人税のボリュームがすごく多かったので、みんな得点率高い気がする
(組織再編、国際課税、事業税、連結納税の出題はなし)。
→所得が思った以上に多かった(譲渡、配当、給与)。相続もちゃんとやっといてよかった(身近な話だし、勉強しててもモチベーションあった)。一方で、組織再編を割と対策したので出てほしかった…。
・得点できる個所(法人、消費)をいかに落とさないかが分かれ道な気がする
→講師の人も行ってた通り、今年は標準的な問題が多かった(東日本大震災が起きた年の問題は割と平易だったから、今年もコロナ影響でその傾向になるのではとおっしゃっていた)
問題1:法人税(総合問題)
→例年通り、別表4、別表1を埋める問題(計算)。解答個所は25個。
基本問題がほとんどで、8割は確保したい。
問題2:消費税(独立した小問が4つ)
①納税義務の判定(記述)→基本的だった。解答行数は2行
②事業譲渡に係る課税標準(計算)→譲渡対価の額が答えなはず(?)。
③申請書の提出義務があるのは誰か(理論)→よくわからなかった。みんなできたのかな。解答行数は3行
④総合問題(計算)→課税標準、課税売上割合、控除対象仕入税額、確定納付額まで答えさせる問題。基本的で、満点取れた人も多そう。
問題3:所得税(記述)
フリーランスが旅行で発生した必要経費をテーマにして、
①事業所得の経費に入れてよいか(給与所得になるか)
②フリーランスに課される可能性がある加算税の名称はなにか
③税務長官と争うためにフリーランスが取れる手段はなにか
→①の解答行数が20行くらいあって即飛ばした。最後の3分くらいでキーワードをいろいろ並べたけど、これ埋没では…?(無理だと思って第2問へ移った)
問題1:法人税。受取配当金の益金不算入を分類させる(完全、関連など)(計算と記述)
→計算も記述も難しくないが、記述のボリュームが多くて時間かかった(5つ×5行ずつ)
問題2:所得税(配当所得に係る源泉税)(計算。計算過程含む)
→よくわからなかったのでさっとやって飛ばした。配当所得の源泉税まで勉強できた人少ない気がする。
→死亡した取締役に係る退職金が何に分類されるか、また納税義務者が誰かを答えさせる問題。そこまで難しくない。
→個人から個人に贈与した土地を、法人に贈与した場合の取り扱い。
譲渡所得(?)あたりは切ってたので、さっとやって終わらせた。
【感想】2020年(令和2年) 修了考査(会計)
【この記事の目的】
・今後こういう試験を受けることはないだろうから、日記・備忘の意味も込めて感想を書く
・来年以降受験する方の参考にもなればうれしい
(筆者は合格不合格に関わらず、来年以降再受験の予定はない)
【全体的な感想】
・分量が多く3時間では絶対終わらない。
→問題の取捨選択がかなり大事になる。典型論点はしっかり時間を書いて記述し、難解な論点は知ってるキーワードだけ書いて部分点を拾う方針が良い(難解論点に時間を費やさない!)。
・初めて受ける修了考査の1発目ということもあり、緊張と焦りがあった
→答練を時間通り受ける練習はしといた方がいいかも。答練は1回も時間通りに解いたことはなかった。
・例年通り、第1問は連結の総合問題、第2問は独立した小問が5題出題された
・感覚的には第1問が55-60%、第2問が60%くらいな気がする。
【第1問(連結の総合問題)】
〇テーマ:自分が経理担当者で、部下が作成した連結財務諸表に誤りがあるため、必要な修正仕訳などを考えさせる問題
〇分量:1時間30分くらいかけて解いた。問題文だけで12ページあり、かなり重かった。
・問題1:退職給付で数理計算上の差異の費用処理年数が変わった時の注記(記述)
→実務で経験したことがあったので割とさくっと解けた。注記すべき内容は退職給付か否か関わらず割と実務で触れる機会が多いから書ける気がする。解答行は3-4行。
・問題2:転換社債型新株予約権付社債の発行時と権利行使時の仕訳(仕訳を解答)
→(基本的過ぎて)正直切ってたから正解してる自信ない。こういう超基本的な問題もさらっとでもやった方がいいのかも。
・問題3:新収益認識基準における有償支給の原則的な取扱いと例外的な取扱い(記述)
→原則的な取扱いは純額、例外的な取扱いは総額(ただし収益計上はNG)だと思った(自信ない)。新収益はポイント引当金とか出るのかと思ってたから意外だった。割と実務的なことを出題してくるんだなと思った。解答行は4行ずつくらい。
・問題4:グループ内の固定資産売買に関する連結修正仕訳(仕訳を解答)
・問題5:子会社が債権譲渡した時の仕訳を答えさせる。ただし、一部計上していない個別仕訳も含めて解答させる問題(仕訳を解答)
→そんなに難しくない。基本的な問題
・問題6:連結財務諸表の数値を埋める(計算)
→債権債務、資本金、売上高、売上原価、持分法利益などを答えさせる。
これも割と基本的だったが、問題4,5同様に問題文が長いので集中力を切らさないことがポイント。8割くらいとりたい。
・問題7:リースにおける日本基準とIFRSの違い(記述)
→IFRSでリース出てくると思っていたが、問われたのが割と難しめだった(解答行はそれぞれ10行ずつくらい)
①IFRSにおける使用権資産の取得原価を構成する4つの項目は何か
→全然わからなかったので適当に単語を書いた。たぶん埋没問題。解答行数長すぎると思った(去年の無形資産を計上する6つの条件みたいに誰も解けないんじゃないかな)
②日本基準とIFRSのリース期間の決定方法の違いは何か
→日本基準は実質的に解約不能な期間、IFRSは法的に解約不能な期間(ただしあまりに短い場合は実質的なリース期間)だと思った。IFRSテキストに書いてあった気がするけど、これも埋没問題な気がする。
【第2問(独立した小問5題)】
・問題1:関連当事者取引が8つ書かれていて、それぞれ注記を要するか〇×を書かせる(〇×問題)
→時間なかったので後回しにして適当に〇×つけた。後の問題2-5が解くべき(取るべき)問題なはず
・問題2:ベンチャービジネスを展開する非上場株式を取得し、のれんを計上したが、事業計画が悪化したために、子会社株式・のれんの減損をどのタイミングで行うか(計算と記述)
→「株式の取得に当たり、子会社が一定の条件を達成したら譲渡価格を50,000千円増額する付帯契約を付していた」と指示があったが無視して解いた(解答に関係あるのかよくわからなかった)。これを間違えると全部アウトかも。逆に無視してよければ全部基本的な計算と記述。
減損のタイミングを問うのはいい問題と思ったが、付帯契約の条件があることでかなり実務よりな問題と思った。(みんなできたのかな?)
・問題3:資産除去債務(仕訳を答える)、スケジューリングの可否(計算と記述)、資産除去債務で使う割引率は何に近いか(記述)
→①資産除去債務の仕訳は基本問題。
②前から思っていたが、税金は現場で税金調書を担当している人が有利かも(税金やりたいって言っておいてよかった!)。理論の解答行数は5行くらい。
③資産除去債務の割引率は基本問題(論文みたいだった)。解答行数は4行くらい
・問題4:減損の兆候に該当するかを判定させる問題(2問)(記述)
→適用指針を覚えているか問う問題。
1つは回収可能価額を著しく下落させる要因に該当するから「兆候あり」だけど、もう1つがわからなかった(兆候ありにした)。減損も実務でよく出る論点だから、重要な適用指針は覚えておいてよかった。解答行数は5行ずつくらい。
・問題5:退職給付会計における日本基準とIFRSの違い(計算と記述)
→基本問題。日本基準とIFRSで差異が大きい項目(のれん、退職給付、研究開発費、固定資産の時価評価)は割と毎年出ていたので、これも厚めに理論対策しておいてよかった(試験委員に研究してる人がいるのかな?)。
【感想】2020年(令和2年) 修了考査
【この記事の目的】
・今後こういう試験を受けることはないだろうから、日記・備忘の意味も込めて感想を書く
・来年以降受験する方の参考にもなればうれしい
(筆者は合格不合格に関わらず、来年以降再受験の予定はない)
【筆者について】
・監査法人勤務
・修了考査は初受験
・10月から勉強を開始し、350時間くらい勉強した
【全体的な感想】
・とにかく分量(問題文の長さ、記述問題の数、記述問題の解答行)が多かった。
→会計・監査・税務は3時間では足りず、普通に解いたら4時間ずつくらい必要だと思う。そのため、問題の取捨選択と焦らないメンタルがとても必要だと思った。
・解くべき問題とそうでない問題をすぐに判断する能力も問われている気がした。
→仕事でも重要性・緊急性から優先順位つける必要あるけど、それも含めた出題な気がした。
・問題量が多いのは、少しでも点数取らせてあげようという試験委員の優しさ?
・答練に類似した問題はあんまり出題されなかった。
→中にはテキストそっくりのものもあったがほんの一部で、実務的(ただし触れてる人は多くない?)な出題が多かった
・割と試験官の人が厳しい(人による?)
→机上における持ち物チェックや荷物の置き場所など注意されている人が結構いた
・長くなりそうなので各科目の感想は別のブログで書く